💼📊
2026/1/15

SAP Introduction #3|SAPは全社システムか?それとも会計システムか?

SAPは全社システムなのか、それとも会計システムなのか。SAPの思想と導入実務の観点から、その本質と導入の入口としてのFI領域を解説する。

SAPERPSAP FI会計システム全社システムITコンサル

はじめに

SAPについて話をしていると、
ほぼ必ず聞かれる質問があります。

  • 「SAPって全社システムですよね?」
  • 「まずは会計だけ入れることもできますか?」
  • 「最初から全部入れないと意味がないですか?」

これらの質問は、
SAPの本質を理解しようとしているからこそ出てくる疑問です。

本記事では、
SAPが「全社システム」なのか
「会計システム」なのか、
その問いに対して、導入現場の視点で整理します。

1. 結論:SAPは「全社システム」であり「会計が中核」

結論から言うと、
SAPは 全社システム です。

ただし、
その中核にあるのは 会計(FI) です。

SAPは、
販売・購買・在庫・生産といった
あらゆる業務データを集約し、
最終的に会計へとつなげる構造を持っています。

つまり、

  • 業務が先
  • 会計が後

ではなく、

業務と会計が最初から一体として設計されている

これがSAPの最大の特徴です。

2. なぜSAPでは会計が「中心」になるのか

SAPでは、
多くの業務処理が会計仕訳と直結しています。

  • 物を仕入れれば、原価が動く
  • 売上が立てば、収益が計上される
  • 在庫が動けば、資産が変動する

これらはすべて、
業務の結果として自然に会計へ反映されます。

そのためSAPでは、
会計は「最後に数字を作る部門」ではなく、
業務全体をつなぐハブとして機能します。

この構造があるからこそ、
SAPは全社システムとして成立します。

3. 「まずは会計だけ導入する」は正解か?

実務上、
「まずは会計(FI)だけ導入したい」
という選択は、十分に現実的です。

むしろ、

  • すべてを一気に導入する
  • 現場がついてこられない

といったリスクを考えると、
FIを入口に段階的に広げるのは
非常に理にかなったアプローチです。

重要なのは、

会計だけを「部分最適」で入れるのか
将来の全社展開を見据えて入れるのか

この違いです。

4. 会計を入口にすることで得られるメリット

数字の信頼性が上がる

FI導入により、
会計ルールがシステム上で統一されます。

  • 勘定科目
  • 仕訳ルール
  • 会計期間管理

これにより、
会社全体で「同じ会計言語」を持つことができます。

後続モジュールをつなぎやすくなる

SAPでは、
販売(SD)や購買(MM)などのモジュールは、
最終的にFIへデータを渡します。

そのためFIが整っていれば、

  • 販売管理の拡張
  • 購買・在庫管理の導入
  • 原価管理(CO)との連携

スムーズに進めやすくなります

5. 失敗する「会計だけ導入」のパターン

一方で、
以下のような進め方をすると、
FI導入は失敗しやすくなります。

  • 将来の業務拡張を考えていない
  • 現行業務をそのまま再現しようとする
  • 会計部門だけで完結させてしまう

会計だけ導入したつもりが、
結果的に 全社システムとして使えなくなる
ケースも少なくありません。

FIは入口であって、
ゴールではないことを意識する必要があります。

6. SAP導入をどう説明すべきか(セールス視点)

SAPを説明する際、
以下の言い方は非常に有効です。

「SAPは全社システムです。
ただし、導入の入口として
会計から始める企業が多いです。」

この一言で、

  • 全社視点を持っている
  • 現実的な導入プランも分かっている

という印象を与えることができます。

おわりに

SAPは、
全社システムか、会計システムか、
という二択で語れるものではありません。

全社を見据えた会計基盤
——それがSAPの正確な姿です。

導入の第一歩としてFIを選ぶことは、
非常に合理的な判断です。

重要なのは、
「どこまでを最終形と考えているか」。

その視点を持つことが、
SAP導入を成功させる第一歩になります。

次回は、
「SAP導入が失敗する本当の理由」
というテーマで、
導入現場のリアルについて掘り下げていきます。

関連記事